玄関を入ってすぐ右、道路に面した壁面に施工したステンドグラスです。
玄関まわりは案外暗くなりがちで、出来るなら大きな窓で採光を図りたいところですが、外からの視線も気になりますのでプライバシーを確保するため「霞かすみ」などと呼ばれるの装飾性のない型板ガラスを入れる事がよく有ります。
一般的にステンドグラスと言うと、赤や青や黄色や緑などの極彩色の鮮やかな色合いのものを想像しがちですが、ステンドグラスの素材として生産されているガラスには実に多くの透明から乳白色さらに不透明の白色のガラスが有ります。
この施工例もその様な多種多様な透明〜白色のガラスを主に使用し、色彩と言えるのは縦に通した金茶色の2本の細いラインのみです。
ほとんど多くの面積を占める透明ガラスですが、その表情は実に多彩で、強く波打った模様で向こう側の景色をゆがめたり、無数の小さな気泡が光を反射してキラキラと輝いていたりと、手作りガラスならではの質感で深みを感じさせると共に外からの視線を適度に遮断してプライバシーの確保にも貢献しています。
この様に数多くあるガラス素材の特性を理解し個性を活かす事で、ステンドグラスには極彩色の光で異次元の空間を演出するだけではなく、日常の空間に於いても光を取り入れつつもプライバシーを確保するなど、装飾性と共に機能を与える事もできるのです。